2024年06月

雨漏りのリスク承知で?なぜ軒ゼロ住宅を選ぶの?

近年では軒ゼロ住宅がメジャーになり、個性的(珍しい)建物としての認識だはなく標準仕様になりつつある軒ゼロ住宅ですが、外観や間取りを重視しすぎてはいませんか? 狭小土地や境界線の問題点とか建築予算を抑えて間取りを確保出来ると言う観点からすれば有効的かもしれません。 これから家を建てたいと検討して方目線では、軒ゼロ住宅は魅力的に思えるのも分かります。 また住宅営業マン的にも人気の軒ゼロ住宅は安価だけども受注し易い物件なので推したいと思うのも分かります。 ですが、ハウスメーカーではなく工務店や職人目線では、はっきり言って推しません。長年にわたり数多くの物件に携わった経験からして推しません。 (もし私の子供が軒ゼロ住宅を選択したら、全力で阻止します。w)

国土交通省のホームページでも発表されているように、「軒ゼロ住宅は軒の出がある住宅よりも危険である」ことを認識して建てる と発表されています。

軒ゼロ住宅が人気な訳

軒ゼロとは住宅の軒が無い又は軒のでが短い(軒の出が20cm以下)の建物をさします。

  • スタイリッシュなデザイン  軒の出が無いので屋根の協調性が抑えられスッキリした見栄えになる。 和風でも洋風でもない外観で都市型住宅の見本     
  • 空間を確保できる   ゆとりのある間取りや生活動線を確保できたりする

  • 敷地ギリギリに建てられる  軒の出がない分、敷地境界ギリギリまで建てられる 
  • コストがカットできる  軒の出部分の屋根と軒天のコストがカットできる

軒ゼロ住宅の落とし穴

スタイリッシュで比較的に安価ではあるがデメリットの方が危険性が高い

  • 雨漏りや結露が起きやすい
  • 外壁が劣化しやすい
  • 夏の陽射しを防ぐ対応が必要
  • 小屋裏と外壁の換気が難しい
  • 室外機やエコキュートが過酷な環境になる

 

 

 

 

 

 

最大の汚点ポイントは外壁に雨がかかりやすい

  • 軒の出が短ければ短いほど外壁に雨がかかりやすくなります。  雨や強い陽射しの紫外線によって外壁が汚れ傷みが速まり、目地シーリングも傷みが速まります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  • 雨樋の不具合が他の部分への与える影響度が高い。  軒の出が長い住宅は雨樋に不具合があっても外壁を伝う雨が最小限に、せいぜい破風や軒天を濡らすぐらいですが、軒が短い軒ゼロ住宅では、雨樋に不具合があると屋根の雨水がダイレクトに外壁を伝い軒の内側まで侵入してしまいます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  • 外壁との取り合いに注意。  建物で違う部材どうしの接合部分を取り合いといいます。軒の出がある住宅の場合は軒天があるためダイレクトに雨水はかからない、よほどの強風雨でない限り当たりません。しかしながら軒ゼロはダイレクトに雨水がかかるケースが多くなり雨水の侵入になりやすい。

片流れ+軒ゼロ=危険度が高い

屋根形状別の雨漏り発生率では片流れ屋根が全体の75%で、そこに軒ゼロをプラスされると更に雨漏りのリスクが高まります。 軒と外壁の取り合い部から雨水が侵入して壁内部に流れ込んでしまう事例が多数発生しています。軒の出が長くあれば暴風雨でも雨水が侵入する可能性は低くなりますが軒天がないことでリスクが高まります。 軒ゼロ住宅は建築費用(初期費用)が抑えられ反面、こまめな点検やメンテナンスは必須なので、トータルコストで比較すると高くなります。メンテナンスのタイミングですが、軒ゼロ住宅は、築後8年~10年以内で以後こまめな間隔でメンテナンスが必要。 軒の出が長い住宅は、築後10年後で以後数年間隔が目安と言われています。 万が一雨漏りの発見が遅れ、大規模修繕工事が必要になった場合は住宅ローンに更なる修繕費用がのしかかります。 

軒が無いキューブ型住宅(箱型住宅)

キューブ型住宅(箱型住宅)は外壁を屋根の上まで高く立上げ内側に低勾配屋根を隠している形状の建物で、ビルの住宅バージョンの様な建物です。 屋根形状は陸屋根でシート防水や低勾配の片流れ屋根で金属屋根の立平葺となり、どちらも外壁が高く立ち上がりパラペット納めに施工されています。 このキューブ型の場合は外壁の劣化による雨漏りはもちろんの事、屋根本体と笠木の点検やメンテナンスが重要となります。屋根の雨水排出不良が起きやすく、雨樋や排水ドレーンのゴミ詰まりが原因で屋根全体が傷んだり、大規模な雨漏りに発展する可能性があります。また雨だけではなく雪にも注意が必要です。雪が積もり2日3日積もった状態が続くと屋根や樋と雪の接地面が溶けたり凍ったりを繰り返し屋根や樋の破損につながります。 笠木からの雨漏りが多くあります。これは建物や建材の経年劣化や施工不良によりもので 暴風雨よく起きます。風が外壁に当たり雨水を吹上て笠木の下からの外壁の内側に侵入して起こる雨漏りです。 防水処理が不十分な場合は、外壁内部全体を1階の土台まで濡らしてしまう可能性もあります。 強風で笠木が、がたついたり飛ばされたりした場合は雨漏りに直結します。

それでも軒ゼロ住宅を建てたい場合

 

どうしても外観を重視したい方 立地条件や土地の関係上、軒ゼロ住宅になってしまう方へのアドバイスをさせて頂くと以下の項目になります。

  • 耐久性の高い外壁材を使用  安価な建材の耐久性はそれなりですので、長持ちするかどうかは、保証できません。「定期的に塗装すれば長持ちします。」このセリフにはご注意ください。外壁塗装は何度も塗り増しが出来るものではありません。 塗ったからと言って建材の強度が上がる事はありません。表面の防水性が高くなっただけで、建材の中身や裏側の経年劣化は進みます。
  • 防水工事の知識を熟知して高い信頼性と実績のある住宅会社を選ぶ  大手ハウスメーカーだからとか、口コミサイトを信用してはいけません。 大手ハウスメーカーでも欠陥住宅は多く存在します。監督者の知識不足だったり、安い単価で受けている職人さんの知識と技術とモチベーションも関係してきます。手間と時間をかければ赤字になってしまいますから。 口コミサイトのほとんどはサクラです、あまりにも酷い投稿は削除されて隠ぺいします。 中小規模のハウスメーカーでもプライドをもって施工している職人さんや業者はたくさんあります。地域密着型の業者は地元で施工不良起こしたら死活問題ですかね。 軒ゼロ住宅に対する経験値はもちろん、防水処理に対する対処方法など突っ込んだ質問を素早く分かりやすく説明してくれる会社を選びましょう。  
  • 10年保証以後も保険を継続すること  新築後に10年保証の制度がありますが、各建材の補償期間は10年であり、不具合発生の多くは10年以降に現れます。築10年いないの雨漏りが発生した場合は保証ないで施工店が補償しなければならないが、築後数年で雨漏りが発生していても、気が付きづらい箇所でゆっくり雨漏りが進行していて10年後に明るみに出た場合は、自己負担での修繕となります。